海の恵みを食卓へ美味しさづくりに想いを込めて
海の恵みを食卓へ、美味しさづくりに想いを込めて
気仙沼と働く vol.12
このコラムは今月でちょうど1年となりました。「気仙沼と働く」というタイトルで、いくつかの切り口を持ちながら執筆できたことは、大変貴重な機会となりました。この節に、1年間綴ってきたことを振り返りながら、改めて気づいたことを記していきたいと思います。
気仙沼と働く vol.12

立場によって異なる価値観から見えること

美味しさとは、一体何でしょう。

例えば、家庭での食事、レストラン、食品メーカーでは、三者三様に美味しさの基準が違います。家庭では家族の好みや生活に合わせた味わいを、レストランではお客様が召し上がる瞬間の美味しさや感動にピークを設定し、メーカーは賞味期限内の美味しさと品質を保証しています。(詳細はコラムvol.8参照)。

初回のコラムで触れた、私が3.11の時に目のあたりにした「自分の中にあった美味しさの基準がガタガタと崩れた経験」は、自分自身が狭い価値観の中で生きてきて、初めて大きく異なる価値観に出会ったことだったのだと気づかされました。

他にも食事法や健康法はたくさん流布していますが、自分にとっての良策が家族や他の誰かにとって良いこととは限りません。

私たちは、自分と違う価値観や生き方の人に対して、怒ることもあれば悲しむこともあります。感情の表現に差はあったとしても、根本に共通しているのは「自分が否定されたのではないか」という念かもしれません。

しかし、それは違う考え方に出会えたということで、自分の幅が広がるチャンスと捉えることができます。大なり小なりのショックや違和感、嫌悪感を抱きながらもその感覚に蓋をしなくていい世の中になっていると感じます。

その際、「自分とあの人は違うこと」をただ横に置いておく。相手を裁いたり否定したりはせず、かといって深く考えることも必要なく、「違う」と認識すること。これは立派な他者への理解であり、さまざまな価値観が共生するための平和的な解決策です。

気仙沼と働く vol.12

誰とどう働くか、どう在るか

この1年間のコラムは「気仙沼と働く」というタイトルでお届けしました。少し違和感のあるタイトルではありませんでしたか。
「必ずしも“気仙沼で”働かなくても会社や地域のために貢献することはできる」と話してくれたのは、八葉水産の社長でした。私が東北で働くことを目指したその日、思いがけない価値観を提示してくださったのです。当時からテレワークで働き、何年か経った今、私は気仙沼から離れた土地で気仙沼のみなさんと共に在ることを感じながら働いています。

昨今普及したテレワーク、在宅勤務やオンラインでの会議といった場所や時間、カレンダーにとらわれない働き方。帰属していた場から切り離されることで浮き彫りになったことは、何でしょうか。

第一に、自分の時間や仕事のマネジメント力が挙げられると思います。私自身、一人の方が仕事に集中できる方で、いかに自分の時間をコントロールしながら効率よく業務をするかということを考えながら働いていました。しかし俯瞰してみれば、一人の時間でサクサクとできる仕事は“作業”と呼ぶものになりがちです。タスクをこなすことと仲間と描いたゴールに向かう取り組みは、相いれません。

一緒にいたメンバーと物理的に離れることで、初めて一緒に過ごしていた環境に感謝ができるようになります。これは、家族や友人、恋愛の関係にも通じるでしょう。

一緒にいることに甘んじて、相手や仲間へ礼を欠いていないか。
その関係が物理的に離れた時にも、信頼し合えるかどうか。
どこにいても、社会をよりよくする一員であると自分を認識して、働けるかどうか。

一見、自由に見える働き方・生き方の奥には、このような重要な意味が込められています。
誰とどこにいようとも、自分がどう在るか。
今、まさにそれが問われているのです。
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