海の恵みを食卓へ美味しさづくりに想いを込めて
海の恵みを食卓へ、美味しさづくりに想いを込めて
気仙沼と働く vol.11 米に象徴される文化
お盆が明けて、少し暑さが和らいだこの頃。夜に鳴く虫が先日まではカエルだったのに、スズムシの声が聞こえるようになりました。秋が近づき、季節は実りの時期と向かっています。日本人にとっての豊穣とは、やはり米のみのりを指すと思います。今回は、米を主食とする暮らし「米食」について綴っていきます。

各地の多様な稲作

徳島県では他の地域と大差なく、ゴールデンウィーク前後に田植えが行われます。すくすくと成長し、7月も末になれば早くも緑色の稲穂が見え隠れしてきます。流石に関東以北に比べると稲穂が出るのが早いなあと感じていたのですが、お盆にはさらに生長が進み、田んぼがかなり黄色く色づいてきます。山間部などを除いて、このあたりではお盆頃から稲刈りがスタートするのです。関東に住んでいた際は、稲刈りといえば9月、10月と思い込んでいたので、まだ真夏といえる時期に、稲が色づき刈り取るタイミングなのだと思うと、とても不思議でした。

後で地元の方に知らされましたが、四国は9月になると台風の時期となるため、その前に刈り取れるよう、早場米として一部品種改良しているとか。確かに、手塩にかけた稲が台風に一網打尽にされてはたまらないですよね。農家さんの気持ちがよく想像できました。

気仙沼と働く vol.11 米に象徴される文化
以前、気仙沼へ向かう車窓でのこと。10月頃でしたでしょうか、一関から大船渡線に乗って気仙沼まで1時間半ほどの間に、幾度と田んぼを目にしました。ある駅の周辺では、稲を横一列にハサがけしていました。
かと思えば、もう少し列車が進んだところでは田に木の棒をたて、それを中心軸として円柱状に稲をかけていました。それらが最初は何なのか分からず、現代アートかと思ったほどです。稲の干し方一つをとっても、地域性があり、多様であるということを東北への出張で垣間見ることが出来ました。南北に長い日本列島は、小さい島国のようでいて実は大きく気候に差があるのですね。
 

一粒一粒を食べることができる食材

米食か、パンなどの小麦食か。小麦を使った食事には、うどん、素麺、中華麺、パスタ、パンなど幅広いメニューがあります。なぜこれだけ幅が広いかといえば、小麦を一旦粉にしてから加工していることが要因の一つです。硬い素材である小麦を柔らかく食するには、粉にする必要がありました。そこへ水を加えて練り上げたり、油や卵などの副材料を添加したりして加工していきます。小麦食は、私たちが美味しく食べられるまでに案外多くの工程を踏んでいるのです。

一方で米は、粉にしなくとも精米して、水から炊くだけで食べることが出来ます。炊飯の際に油などを添加することも基本的にはありません。これは小麦食との大きな違いです。小麦のように粉にしてから食する場合は、その過程でさまざまな栄養素を削ぎ落としていくことになりますが、粉に挽いていない粒のままの米は、元の素材の栄養素をかなりの割合で保持しているように思います。玄米であれば栄養価も一層高いです。

そう思うと、米は実はシンプルな工程で調理することができ、かつ簡単に栄養を摂取できる主食だということがわかります。
気仙沼と働く vol.11 米に象徴される文化

米をしっかり食べる

様々な健康法が取り上げられる中で、炭水化物を控える食事方法をよく耳にするようになりました。昨今、食事の際にご飯を少なめにする方は少なくありません。私もその一人でしたが、最近、管理栄養士の友人からのアドバイスを受けて、炭水化物をしっかり摂ることの重要性に気付かされました。

バランスの良い食事の指標の一つに、「PFCバランス」というものがあります。これは三大栄養素であるたんぱく質Protein、脂肪Fat、炭水化物Carbohydrateのエネルギーあたりの摂取バランスのこと。摂取カロリーをたんぱく質を13-20% 脂質を20-30% 炭水化物を50-65% とする比率が生活習慣病のリスクが低く、推奨されているのだそうです。実際の食材に当てはめると、炭水化物をご飯なら200250g摂取するのが適切ということになります。これはこれまでの私が食べてきたご飯の倍量でした。なかなかの量に最初は抵抗がありましたが、その代わり、お肉やお魚などのたんぱく質源のおかずはご飯の半分にするよう、栄養士から指導を受けました。

もし炭水化物を米ではなくパンにすると、自然とバターやオイル、卵、ジャムなどを添えたくなるもの。案外油分が多くなります。
また、米食でもご飯を少なめ、おかずを多めにすると、一見ヘルシーなようですがおかずの油分やタンパク質を過剰に摂取しがちです。

そう考えると、米をしっかり食べ、おかずを少なめにした和食は、実はとてもヘルシーでPFCバランスの良い食事ということになります。

以前に取り上げた「魚食」も、米食だからこそ美味しくいただけるもの。焼きたての旬の魚には、やっぱりお米が一番合います。日本には昔から一汁三菜や一汁一菜という考え方がありますが、質素で素晴らしい健康法だったようですね。

国内には、消費しきれず行き場のなくなったお米がたくさん保管されています。あらためて米食の意義を見つめてみたいものです。
 
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