海の恵みを食卓へ美味しさづくりに想いを込めて
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気仙沼と働く vol.4 食事のバランス
気仙沼と働く vol.4 食事のバランス
冬の佐那河内村
年が開けて早1か月が経ちました。私のいる徳島県佐那河内村は、山間部にあるため雪がちらつく日々が続いています。この時期は路面や水道の凍結に注意して暮らすことがあり、東北・気仙沼での生活を思い出します。

 
年末年始には、たくさん美味しいものを召し上がった方も多いでしょう。そんな体を整えるために1月7日に七草粥を食すのは、理にかなった日本の食文化だなと思います。正月明けに限らず、たくさん食べたあとは、食べ物を控える。太るから・・・というよりも、私たちの元気な毎日を支えている五臓六腑に感謝をして、休ませてあげる。そんな風に捉えるのはいかがでしょう。


日常にメリハリをつける、という意味では「ハレトケ」という文化的な考え方もありますね。華やかな日々を支える、淡々とした日常。今回は、その日常の食事とそのバランスについて焦点を当ててみたいと思います。


 

各地で感じた食事のバランス

東京で暮らしていた時は、自分なりに食事に気を使っていました。具体的には、1食につき肉か魚の動物性タンパク質と、ご飯と、野菜と、あれと、これと・・・といった”良さそうなバランス”を取ること。良いとされる数字もいくつか見かけます。野菜を1日360g以上食べようとか、1日の摂取カロリーは〇〇〇〇kcal、間食のカロリーは〇〇〇kcal、塩分は〇g以下など。
 
気仙沼と働く vol.4 食事のバランス
気仙沼でいただいたお造り
そんな私が気仙沼で日常的な食事をしたときのことです。食卓にはメカジキ、カツオ、マグロなど地元で取れる新鮮な海産物がたっぷり。お刺身もあれば、焼き魚から煮魚まで。華やかで豪快で目を見張りました。ツマには、大根ではなくワカメがたくさん添えらえていました。私にとっては 日常ではなく”ハレ”の食事でした。また、自分の普段の食事と比べると、野菜が少ないかな?そんな風に感じたのを覚えています。


はたまた、徳島県の山間部・木頭という地域の食事について聞きました。ここは徳島の中心地から車で2時間半ほどかかるところで、道路が整備されていなかった昭和初期は、海産物が新鮮な状態で届くことはなかったそうです。山の幸には恵まれていたようですが、現代のように野菜を多品目栽培する時代ではなかったため、例えば夏はきゅうりばかり。毎日のようにきゅうりを食する日々もあったそうです。他の野菜がないから、今あるものを食べ続ける。


以上2つの事例ですが、おそらく日本の各地で同じようなことが起きていたと想像できます。米があまり取れず雑穀しかなかった、芋ばかり食べていた・・・


このような食事のスタイルは、今の考え方に当てはめればバランスが悪いように思えるかもしれません。しかし、人々は何か患っていたのでしょうか?私にはそんな風には思えませんでした。


 

食べ物の旬は一つではない

旬についてもみてみましょう。
横浜野菜にこだわった料理の仕事をしていたことがあります。例えばスーパーで年中買える人参や玉ねぎ。横浜産で揃えようと思えば、通年手に入るというわけにはいきませんでした。この時期は横浜産があるけれど、この時期は九州、四国、関東、北海道・・・そんな風に産地が変化していることなど、恥ずかしながら知らなかったのです。特定の産地に注目することによって、初めて気づいたことでした。


魚でいえば、回遊魚がいますよね。高知などの四国では初夏に水揚げされるカツオがあれば、気仙沼などの三陸では秋冬に脂ののった戻りガツオが獲れます。


今、地元産が手に入らないために、他から調達しようというのは比較的最近のことです。手に入らないなら身近にあるもので暮らそう、というのがその土地の風土に即した食事の仕方なのだろうと思います。
 

食事のバランスには地域性があり、個性がある

各地の食を見つめてわかったことは、”適正な食事のバランスは地域ごとに異なる”、ということです。海の幸を中心に食べることで健康的な暮らしを営む地域があれば、山の幸を主に食して元気に暮らす人々もいるのです。ですから全国に共通する適正な食事のバランスというのは、あくまでも目安にすぎないということです。


さらには、同じ地域に住んでいても個人個人で体の作りが違いますから、個別に適正な食べ方があるといえます。数字や情報に左右されて食事をしている時、私たちは自分の基準から外れ、「頭で食べている」状態なのではないでしょうか。
では、何が自分にとって最も良い食事のバランスなのか。それを探るには、数値や情報、概念を手放して、自分の中心に問いかけてみましょう。


私はどちらかというと、カロリーを見たり食品表示を凝視したりして、頭で食事をしていた方です。そんな私がたどり着いたのは、「食べたい時に食べたいものを、食べる。」でした。


この直感に従っているうちに、本当に食べたいのか、なんとなく欲しているのかがわかってきます。すると、好調なときの食事や不調になりがちな食事の傾向が見えてきます。続けているうちに、外の情報に頼らずとも自分なりの健康を保つことができるようになると思います。


 
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1月のレシピ-1「めかぶ入り春雨スープ」
今月のレシピは、これから旬を迎える海藻・めかぶを使った2品です。こちらは、疲れた体に優しく染み渡るイメージで作った、めかぶ入り春雨スープです。ニラを入れようと思いましたが、地元でニラが揃わず、旬の細ねぎで作りました。
 
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1月のレシピ-2「めかぶ入り恵方巻き風 玉子巻き
こちらは、もうすぐやってくる節分を意識した恵方巻き風の卵巻きです。卵に味付けめかぶを混ぜています。めかぶに甘辛い味がついているため、調味はほとんど不要。ボリュームのある卵焼きですので他に具材を巻かなくても十分満足のいく味わいです。


節分を境に暦の上では春となります。春に向けてエネルギーを開花できる体に整えましょう。次回は少し暖かな春を感じる内容でお届けしたいと思います。お楽しみに。
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